epilogue




 ゾロはキッチンに立つ背中を眺めた。
 予定とは少し違ったけれど、結果的には良かった。



 『おまえをかばったよ、あのこは』
 『…サンジか?』
 『うん。自分だけが悪いって』
 『俺も、おかしいと気付いていたのに、注意不足だった』
 『うん。でも何でサンジがおかしくなったかわかる?あの用意周到なサンジが。あんなに安直な手でイージーミスするわけないでしょ。』
 『…何故だ』
 『あの仕事が終わればゾロと別々になるから、嫌だったんでしょ。そのくらいわからないとだめだよ』





 確かにそのくらいわからないとだめだ。
 別々になるとは思っていたが、今生の別れ――自分たちに生があると言えるのかは別だが――でもあるまいし、別れるつもりはなかった。仕事が別でも他の時間で一緒に過ごせばいい。そう思っていた。けれど伝えなかったからサンジは気を病んだのだ。
 同じ轍は踏むまい。



 「おい」
 「んー?」
 サンジは俎板の上に置かれた魚の切り身を薄切りにしている。狭いキッチンで背中を丸めて、ゾロに食わせるための食事を作っている。
 「好きだ」
 「!」
 振り向いたサンジの目は丸く、子供っぽく見開いている。手には包丁。やがてサンジは赤い顔でひとつ頷いた。




書いた日100302
二重人格的同一人物、裏表、分化できる。現代死神。


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