[サンジの恋愛]
ナミが別れたいと言ったのは本当に突然だったが驚きはしなかった。ただ残念だと思いはしたが引き止めることもなかった。
サンジの恋愛はいつも追うばかりで、そのくせ相手の気持ちが優先だから断られれば執拗に追ったりはしない。追われる恋愛はあまりしたことがない。そうした中でサンジは自身の気持ちをあまり重く扱わなくなった。
だからナミを本当に好きだと思っていたが別れることに頷いた。
「コックさんはそれで寂しくないの?」
注文の花束を作りながら、ロビンは店のスツールに座るサンジに問いかける。
「寂しいっていうか…相手が俺のこと好きじゃないのに付き合って、そうやって空回ってるほうが寂しいからさ」
「じゃあコックさんは気持ちが冷めてしまっても彼女が一緒に居てと言えばつきあってあげるのかしら?」
「彼女に対して、礼を尽くせる程度の気持ちが残っている間は」
それも空回りだ。矛盾しているとはわかっているがサンジはどうしても女性を無碍に扱うことはできなかった。
「それも失礼な話ね」
ロビンは笑いながら言う。だから責めてはいないとわかるが、サンジはどうしても言い訳したくなった。素敵な美人のお姉さんに誤解を与えて嫌われるわけにはいかない。
「俺はそういうつもりじゃないんだけど、…結果的には否定できないね」
「わかってるわ。コックさんは優しいものね」
優しくて酷い。自分の性分に呆れるときがある。
「…ホントは誰も、本気で好きになってないだけなのかもな」
本当に誰かを好きになることはもっと諦められないものなんじゃないか。
すぐに諦めてしまう自分の語る愛は軽すぎる、とサンジは自嘲する。
花屋にて、愛を疑う