[恋の輝き]



 女の子は冷え性な子が多い。手を握れば冬でなくとも冷たくて、絡めた足はひんやりとしている。
 だから自分を抱きしめる体が熱いことがサンジにとっての証明になりえた。目の前にいるのは確かに同じ男で、この緑の頭はゾロだ。
 こっちを見つめる瞳も確かに彼のものだ。
 唐突に襲ってきた状況にも何故か冷静でいられるのは何故だろう。まるで以前から予想できていたかのように、サンジの心は凪いでいる。
 趣味嗜好が自分の理解を超えていてもそれは個人の付き合いにあまり関係しない。ゾロがゲイでもサンジにはどうだっていい。
 でもその視界に自分がいるとなれば話は別だが、それもサンジは何故か驚かなかった。
 それどころかサンジはゾロが自分に好意を持っていることが純粋に嬉しい。 

 「だったら、俺のことが嫌いじゃないなら」

 髪に触れたまま、至近距離で言うせいで耳を介さず直接頭に話しかけられているように錯覚した。骨伝導でゾロの声がサンジの頭蓋に伝わってくるように。気持ちも伝わってしまう。
 だからこの先言うこともわかる。
 わかってて止めなかった。
 「付き合ってくれ。…お前が、俺に触れてくれとは言わねえから」
 何て辛いことを言うんだろう。痛切なその願いを言うのがどんな気持ちかサンジにはわからない。
 相手が恋愛感情を持っていないのに付き合う、それがすれ違いを生むのは分かりきっている。どちらも幸せにはなれないだろう。そんなこときっとゾロもわかっている。

 「…そんなの、付き合ってるって言わねェぞ」
 「諦められねえ。だからお前が俺に惚れるまで、それでいい」

 男気溢れる言い分に呆れながら見つめたゾロの瞳は輝いてみえた。