[茶会]



 何故そんなことになったのか不明だが朝の茶会が始まってしまった。
 顔を洗えと促されるままに、戻ってきたらすっかり用意は調っていた。ナミのカップには紅茶が湯気を立てていたし焼き菓子まで置いてあった。
 準備のいい奴。
 ゾロがソファに座るとキッチンから顔を出したサンジが持ってきたカップに紅茶を注ぐ。
 「お前は何か食う?」
 「あさめし」
 「パンでもいいか?」
 頷くとまたキッチンへ消える。しばらくそれを見ていたがふと気付いてナミのほうを見る。ナミは無関心そうに紅茶を飲んでいた。
 倣って一口飲むと湯気と一緒に匂いが濃く上った。温かなものが体に入りやっと目が覚めてくる。以前も飲んだことがある気がするがダージリンとアールグレイの区別だって気のせいくらいにしか思わないゾロだ。本当かどうかは知らない。とりあえず美味い。
 「邪魔しに来んなよ」
 恨み言の調子で言ってもナミは素知らぬ顔だ。来訪者が男だったらサンジは居留守を使ったはずである。もしくは中まであげずにさっさと返しただろう。ナミだからこうなったのだ。そうでなければ二人で未だ温かいベッドの中だったはず。

 昨晩は色々あったせいかサンジはあのまま仕事を休ませてもらったらしい。待ってろと言われて厨房の裏で待つこと五分。大きな物音のあとサンジは出てきた。髪の毛はぐしゃぐしゃになり腹を押さえているのを見る限り、殴られたようだった。
 帰って脱がせてみればやっぱり腹と背中に擦り傷ができていた。それを舐めたらサンジが痛がっていたのを思い出して、またキッチンを見る。
 「アンタがアタシのこと置いてったんじゃない。逆恨みよ」
 やっと現れたサンジの手には皿が乗っている。その上には厚めのパン。
 「なんだ?」
 「俺様特製ピザソースだぜ」
 確かに渡されたのは熱々のピザトーストだ。赤の上に白っぽい黄色。溶けたチーズが美味そうだ。
 「置いてったって?」
 「わざわざ呼び出されてノロケ聞かされて、誕生日って聞いた途端ポイよ。ひどいと思わない?」
 「はあ?お前……ナミさんに失礼だろうが!」
 ぱかん、と頭を叩かれて危うくゾロはトーストを吐きそうになった。