[サンジの悩み]
付き合い始めて、自分からキスをして、一週間ほど経ったか。サンジは彼をそういう意味で好きなのかもしれないとやっと感じ始めている。ゾロを大切に思う。女の子相手のように守ってやりたいとか優しくしてやりたいとは思わないが、隣にいるのがとても自然だ。触れるのがただ温かい。だからサンジは今の状況に納得しているのだ。
一ヶ月前は知らなかった。彼の気持ちも自分の気持ちも。
この十日間で何度か会ったがそのどれもがサンジの部屋だった。二人が会うのは大抵夜半も過ぎたころか午前中なので外に出掛けたりはできなかったのだ。レイトショーですら仕事が終わってからでは間に合わない。となればどちらかの家しかなくなり、ゾロはサンジの家に行きたがった。
理由は単純。美味い飯と酒がある、その上サンジが一人暮らしだからだ。
「いくらでもくっついていられるだろ?」
ゾロの魂胆は本当に単純だ。そんなこと言いながら嬉しそうにサンジを抱きしめてくるもんだからつい絆された。サンジだってゾロの住処を見てみたいのに言いそびれた。
だから何度か会ったそのたび、二人でべたべたしていた。男同士だという現実をふと思い出すとサンジとしては気持ちの悪い絵面だと思うのだが、ゾロは流石にひとつも疑問に思っていないようだ。そういう時、彼との感覚の違いを感じてしまう。
やっぱりサンジは女の子が普通だったし、ゾロは男が普通なのだ。
だからもちろん過去に彼女がいたのと同じように彼にも彼氏がいたのだろう。それにどこか実感が持てないのは未だサンジが男の恋人に愛しさ以上の欲求を感じないからだろうか。
目下の悩みはそれである。
ゾロに欲情したことはない。