[直球勝負]
食事後のテーブルでサンジは言った。
「お前は俺にどう接してもらいたい?」
ゾロはナミの言葉が的中したことについ顔を引き攣らせた。ナミから話が伝わっているものと思っているのだろうか、それとも話が繋がらないことはお構い無しなのか、サンジは前後の話に関係なくナミの言ったことから話を続けているらしい。ひどくストレートな聞き方だ。いくら話下手なゾロでもわからないことをそのまま本人に尋ねるのが正当な手段だとは思わない。サプライズパーティーで渡す誕生日プレゼントを事前に直接訊くのがまずいことくらい流石にわかる。
サンジは問題をデリケートだと思っていないのかもしれないがどちらかというと直球勝負をしているのだとゾロには何故かわかった。
だからはぐらかすことは出来ない。大体それでは意味がないのだ。
「…本音は言いたくねえ」
すっかり食べ終わったカレーは絶品で、先程までは適当に歓談していたのに。今はシリアスな空気が漂っている。お互いの隙とチャンスを窺い合っている。
「何で?――っつってもお前は答えてくんねェんだろうな」
答えられないのだ。そう言い訳ができればどれだけマシなのか、それとも状況はまるで変わらないだろうか。半ばパニックになっているせいかゾロには正常な判断ができない。覚悟してきたつもりなのに、こうしてサンジに真っ向から見つめられるとぐらりと揺らめいてしまう。
だから本音を言いたくても、口は動いてくれない。
単純だ。
お前が欲しい。
俺を隣に、特別な場所に置いてくれ。特別な扱いで名を呼ぶような関係になりたい。
そう言ってしまいたい。
「あー…あのさ。悪ィ、推測だ。でもお前のことわかりてェから訊く」
そのとき何故かゾロは数秒後、サンジの唇から零れるであろう言葉がわかった。
自分が最も聞きたくない言葉だと。
「もしかして、お前ってゲイか」