[突きつけられた]



 まったくもって不可解だ、しかし糸は今にもほどけそうに見える。謎という名の糸は複雑に絡まっているようだが正解の一本は見えないところに絡まりもせずに落ちている、それだけの気がする。自分の死角で事は進行し、タチの悪い悪性腫瘍のようにいつか突然襲ってくるのかもしれない。そう思うとこのもやもやはさっさと解決すべきだ、とサンジは思うことができる。

 だから、電話をかけた。解決にもっとも近いルートで。
 コール十回でも出なかった。時間を置いてまたかけたがその日は外れで、また次の日かけたら午前中もダメで、四時頃の休憩の合間にやっと繋がった。掛け直してこなくても着信拒否ではなかったらしい。
 『…もしもし』
 「俺、サンジ」
 『どうした?』
 電話口では何の違いもわからないゾロの対応にいちいちサンジは聞き耳をたてる。刺された釘は大いに響いているようだ。
 「今晩ヒマねェか?休みだからカレー作ったら量多かったんだよ。食いに来い」
 決して都合のいい口実ではない。休日は時間があるから普段できないようなものを作りたくなる。たとえば中華のフルコースとか大鍋いっぱいのシチューとか、生地からパンを焼いたり。趣味が仕事なのは大変結構だがここまでくると中毒的だと昔付き合っていた彼女が言っていた。
 ちなみに量はゾロが食べることを計算して最初から多く作られている。

 『行くのは構わねえが俺だけか?』
 「ナミさん?どうせカレーだから呼べるぜ?」
 サンジはゾロと一対一で話したいと思っていたので、ゾロがそんなところに気を回すとは予想外だった。
 基本的に、サンジは自己中心的な物の考え方をするところがある。
 『あ、いや…どっちにしろ俺が連絡しとく。何時に行けばいい?』
 「メシ炊くし七時くらいか。お前がヒマになったらでいいけど」
 『今日はトレーニングしねぇから行ける』
 トレーニングって何だ?と聞き返そうと思ったが直接尋ねることにしてサンジは通話を切る。それから、剣道の自主練習のことかと一人納得した。