[健やかな毎日]



  サンジは懇意にしている花屋から黄色のコスモスを貰った。代償は彼の働くレストランで手製の料理をご馳走することだが、それは彼にとって喜ばしいことである。自分の料理を美味しいといって食べてもらえることが生き甲斐だからだ。しかも相手が女性なら殊更。たとえ値段や手間が見合ってなくても彼にとっては紛れもなくプレゼントに成り得た。

 「ありがとロビンちゃん」
 満面の笑みで言えば彼女はくすりと笑う。
 「コスモス好きでしょう?この色見たらつい貴方にあげたくなったの」
 ロビンのこういうところが好きだと思う。わざわざ好きな花を覚えていて、気を遣わないように自分が喜んで払える見返りを要求してみせる、そんなところ。
 言ったかどうか覚えていないが確かにこの花は好きだ。バラみたいな華やかさには欠けるが慎ましくて芯のあるかんじが良いと思っている。女性本位でものを考えるサンジの脳を通せば『謙虚で大人しくて初心な女の子が佇んでいるようだ』となるのだが。
 「家に飾らせてもらうよ。料理のリクエストがあったらなんでも聞くから言ってね」
 「じゃあ今度までに考えておくわね」

 微笑む彼女に手を振ると反対側の手に収まるフィルムがかさかさと鳴った。





容易い代償