[誰かの幸せ]
朝の十時、サンジが店に顔を出した。
「今晩空いてないと困るから、先に渡しとくことにしたんだ」
自分のことのように楽しそうな彼の笑顔だけで嬉しい。だからロビンは自分でも気付かないうちに微笑んでいた。両手に箱を持ったサンジがもうすっかり特等席になってしまったスツールに跨がるとステンレスの台の上にそれを並べ始める。
「これは昼、こっちは夜開けて。どっちも冷蔵庫に入れといてほしいな」
同じくらいの紫のペンシルストライプの箱と黒いブロックチェックの箱。
「それで最後にこれ、あげる」
一回り小さな金色の箱。
「これも冷蔵庫かしら?」
「いや、これは生ものじゃなくてプレゼント。誕生日おめでとうロビンちゃん」
ロビンには家族がいない。少ない友人たちにも今日を祝おうという人間はいない。ロビンの誕生日を知る友人は彼だけだからだ。
サンジは誰かを祝うことが好きだった。彼が楽しいならと思って教えたが、まさかそれが自分にも嬉しいことになるとは思っても見なかったのだが、ロビンは確実にこの瞬間を快く想う。
「ありがとう。開けてもいい?」
頷くのを見てから慎重に封を開けると中には紫のキャンドルが入っていた。
花の形のアロマキャンドルだ。削り込んで模様が彫られている、繊細な蝋細工。においはラベンダー。
「今度使ってみてよ」
サンジは本当に可愛い男の子だ。
それから出勤する彼を見送って、二つの箱を見た。きっと昼のは食事で夜のはケーキだろうと思いながら大事に冷蔵庫にしまった。
プレゼントはもちろんだけどロビンにとってはサンジという友人が宝物なのだと思う。いつかそれを伝えてあげたい。