[かわいいおとうと]



 ロビンには可愛らしい友人がいる。彼は短気で乱暴なところがある反面とても紳士で優しい。強くてきれいな年下の青年をロビンは弟のように愛している。その誤解されがちな二面性も、女尊男卑の主義も、愛を追うのに愛に疑問を持っている複雑な内面も。矛盾するものを内包している彼が好きだ。
 だから店に食事に行く以外に彼に会うことをとても楽しみにしている。そんな自分は新鮮で嬉しい。
 「ロビンちゃんの誕生日、もうすぐだったよね」
 確かにもうそろそろ二月だ。寒さの厳しさもそのうち緩んでくるだろう。
 「楽しみにしててよ!」

 出勤前に店に立ち寄ったサンジは鼻と頬を赤くしながら駆け込んできたと思ったらそれだけ行ってまた走って出て行った。慌ただしいのは彼の出勤時間まであと少しだからだろう。レストランのオーナーは厳しい人だから遅刻すれば蹴られるのだと言っていた。文句を言いつつもその人を誇りに思っているのをロビンは知っている。
 チャコールグレーのコートを翻しながら店を出て行く後ろ姿はまるっきり子供で、ついついまた彼を可愛らしい子だと感じてしまう。普段は青年から大人になりつつある、男の子よりも男性に近いサンジが年上のロビンの前ではその大人の空気をすっかりなくしてしまうのだ。
 ただでさえ幼く見えがちな容姿が悪いのかもしれない。なにせサンジときたらもう二十代半ばなのにカジュアルな格好をさせていれば十代の高校生に見えなくもないのだから。ロビンと並んでいては姉弟に間違われる危険性すらある。
 きっと彼は必死に否定するだろう。
 その様を思い浮かべてロビンはくすりと笑んだ。

 かわいいおとうと。

 最近、彼は恋人と別れてしまった。でもその彼女は友人として仲良くしているらしい。彼が健やかに暮らしているだけで、ロビンはひとつ幸せを持っている気がするのだった。