[優先すべき事]
年が明けてから一ヶ月経った。新年の挨拶回りや初詣をしたりと立ち回っているうちに七日が過ぎ、気付けばもう節分が近い。そのあいだサンジに会ったのはたった二回だ。ナミと新年会名目で飲んだときと店に行ったとき。
師走の中頃に見た光景については何も聞いていない。
そもそも聞けるわけもない。あの女は誰だと尋ねる権利がゾロにはないのだから。やましいことがない純粋な友人ならば戯れに任せて尋ねることもできるだろうに。溜息すらでる。
すっかり人通りの少なくなった夜道を歩く。ゾロが今やっているのはコンビニの夜勤だ。剣道師範以外には全て腰掛けのバイトなので短期から長期まで様々な職種を転々とやっているのだが、最近はなんとなく時給が多めの仕事を選んでいた。なぜなら同じだけ稼ぐのに早いから。つまり休みが多くとれるようにしている。理由はもちろん、サンジと会えるチャンスを潰さないためだ。
接客業は好きでも得意でもない。でも夜間は客の入りも少ないので生活時間帯を調節できればそれでいい。楽は楽だ。
ちなみにゾロは自分にはコンビニの制服が似合っていないのも知っている。
しかしサンジに会う時間のほうがゾロには大事なのだ。くだらない体面など必要ない。